熱狂、とはいかにして生まれるのか。
そして、熱狂の渦を作り出したものと、巻き込まれたものの差は?
2018年のG1クライマックスは、熱狂の渦を作り出した棚橋弘至選手が制し、
その渦に巻き込まれた飯伏幸太選手は、後日のインタビューで「飲まれた」恐怖と
「感情を揺さぶるプロレス」の凄さを痛感したと語りました。
(引用元:新日本プロレスオフィシャルウェブサイト)
では、2019年の「イッテンヨン」では何が起きるのでしょうか?
棚橋弘至選手は再び東京ドームを熱狂させられるのでしょうか?
ケニー・オメガ選手の言う「ワルイコト」が勝つのでしょうか?
・プロレスが持つ「レガシー」と「記憶」
東京オリンピック関連のニュースで度々使われていたパワーワード「レガシー」。
「遺産」や「後世に残したい業績」といったニュアンスで使われるこの言葉は、
オリンピックだけでなく、築地市場・豊洲市場の問題でも使われましたよね。
プロレス界で言えば、邪道選手と外道選手がGODに伝授したとみられる
「スーパーパワーボム」について、「レガシー」という言葉を使って報じる記事も多かったです。
歴史を知らなくても楽しめるプロレス。しかし、歴史を知るともっと楽しめるのがプロレス。
G1クライマックスで柴田勝頼選手がセコンドに付き、武道館のお客様が熱狂したその理由。
それは、棚橋弘至選手が柴田勝頼選手との関係という「レガシー」を見せ、お客様の「記憶」を甦らせたからだと思います。
・ケニー・オメガが提示した「レガシー」
レガシー+記憶=熱狂
ここで、2016年の「記憶」を引っ張り出してみましょう。
その記憶は、2016年のG1クライマックス決勝。
Bブロックにエントリーしたケニー・オメガ選手は、内藤哲也選手との公式戦最終試合で、60分ギリギリで勝利し、優勝決定戦へ駒を進めます。
対するAブロックは混戦に次ぐ混戦で、その隙間をするりと抜け出たのが、
後藤洋央紀選手でした。
2016年のケニー・オメガ選手は、バレットクラブのボスという立ち位置で、ヒールキャラクターでした。
AJスタイルズ選手に変わる、バレットクラブの3代目ボスとして人気も上がってきた時代。
それに加えて、初出場にして決勝進出。そして優勝すれば、外国人選手で初めてのG1優勝と、お客様の期待も高いものでした。
奇しくも、対する後藤洋央紀選手は、2008年に初出場初優勝を達成した男。
この当時に、「2008年の後藤洋央紀」の記憶が蘇った方は、より感情移入したことでしょう。
その試合終盤に”仕掛け”ました。
後藤洋央紀選手が、当時封印していた「裏昇天」と「昇天・改」を解禁し、ケニー・オメガ選手を攻め込んでいきました。
しかし、必殺の「GTR」をかわしたケニー・オメガ選手が”仕掛け”たのは、
「ブラディーサンデー」
そう、バレットクラブの初代ボスであるプリンス・デヴィット選手(現フィン・ベイラー)の必殺技です。
そして、続けざまに”仕掛け”たのは、
「スタイルズクラッシュ」
同じく、バレットクラブの2代目ボスAJスタイルズの必殺技です。
バレットクラブの「レガシー」を感じさせたケニー・オメガ選手。
会場は「ケニー一色」になりました。
そして、今度は自身の「レガシー」を”仕掛け”ます。
当時、新日本プロレスを退団し、WWEのクルーザークラシックなどに参戦していた
盟友の「レガシー」
「シットダウン式ラストライド」
これには、全部持っていかれました。
新日本プロレスではまだ絡みがなかった時に、ケニー・オメガ選手が、言葉ではなく、技で飯伏幸太を提示。
更に、続けざまにコーナーに登ったケニー・オメガ選手。
ここまでくると、往年の「ゴールデン☆ラヴァーズ」ファンは分かったと思います。
「フェニックスプラッシュ」
しかし、これはかわされました。
「後藤!喰らっちゃえよ!」と当時のボクは思ってましたね(笑)
そして、「片翼の天使」で3カウント。
「レガシー」を見せつけ「記憶」を甦らせることで、両国国技館を熱狂の渦にした
ケニー・オメガ選手。
そして、いつもの英語マイクで、熱狂が少々冷ややかになったとき、
次なる「レガシー」を見せます。
初めて新日本プロレスで「日本語」を使ったんです。
DDTからのファンの方の「記憶」を甦らせ、更に、
「アッチイカナイ」とWWEに行った選手たちのことを暗に提示し、両国国技館を再び、ケニー・オメガ選手の空気に換えました。
ケニー・オメガ選手が提示した「レガシー」。それによって甦った「記憶」は、
熱量を持った記事をも生み出しました。
恐らく岡本記者が書いたと言われている記事です。「飯伏番」と言っても過言じゃない岡本記者ですから、この時のケニー・オメガ選手の優勝。そして試合の中で見せた「レガシー」を一番強く感じたんじゃないでしょうか。
・棚橋弘至の「レガシー」か、ケニー・オメガの「レガシー」か
さあ、ここまでくると、1.4はどちらがどんな「レガシー」を提示するのでしょうか?
それとも、そんなこと全く感じさせないバチバチのやり合いになるのか?
後者だったとしたら、ケニー・オメガ選手が優勢で試合が展開していくでしょう。
ですが、ここ最近になって「丸め込み技」を多用するようになった棚橋弘至選手。
片翼の天使をスカして、スモールパッケージを狙う事もあり得ますよね。
それに、ケニー・オメガ流の「レガシー」を引用するならば、自身のスタイルとはちがいますが、
柴田勝頼選手の「PK」
AJスタイルズ選手の「スタイルズクラッシュ」
そして、
ボマイェ!
棚橋弘至選手ならばこれらの技を使ってくる可能性があるんじゃないかと思います。
また、前者であれば、棚橋弘至選手には「柴田勝頼」、
ケニー・オメガ選手には「飯伏幸太」というG1クライマックスと同じ構図が生まれると思います。
更に、そこへ新たな要素を追加するのか?
もしかして、ケニー・オメガ選手のいう「ワルイコト」が、
飯伏幸太選手以外のセコンドを連れてくる
ということだったら・・・?
それによる「熱狂」を味方につけ、棚橋弘至選手を完膚なきまでに叩き落すのか?
では、誰だ?
中澤マイケル・・・?
いや、東京ドームは「???」ってなるでしょ!
カール・アンダーソン&ドク・ギャローズ・・・?
あれ、
AJスタイルズ・・・?
まあ、深読みどころか、邪推の域に入るので、これ以上は、
あれ、ヨシヒコ?
なにが起きる!なにを魅せてくれる!「イッテンヨン」東京ドーム!