橋本真也負けたら即引退。
その真実が様々な関係者から語られる
「証言 橋本真也34歳小川直也に負けたら即引退の真実」
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当時を知る、多くの関係者の中で、
前作である「証言 1.4橋本VS小川20年目の真実」
の中でも「非プロレス」側の人である、
テレビ朝日の加地倫三氏の告白が興味深かったので、
今回はこれをもとに、現在の新日本プロレスと
照らし合わせていきたいと思います。
橋本真也負けたら即引退
2000年4月7日。こんな文言がテレビ欄に載りました。
「橋本真也34歳小川直也に負けたら即引退スペシャル」
プロレスがゴールデンタイムに帰ってくる!
という煽りでテレビコマーシャルなども打たれていましたが、
その内容は、かなり過激で挑発的で、プロレスファンのみならず、
一般の視聴者を扇動するかのようでした。
破壊王・橋本真也
その巨躯からくりだされるキックは、一撃一撃が必殺技級で、
テレビの企画で威力を計測したら、自動車に跳ねられる程の衝撃でした。
そんな橋本真也は、新日本プロレスの「強さの象徴」として君臨していました。
オカダカズチカが持つIWGPヘビー級王座の防衛記録V12というのは、
橋本真也がV9を記録したことに起因します。
その後、永田裕志が10回防衛したことで、橋本真也の記録を破り、
MrIWGPと呼ばれた時期もありました。
そして、その記録を更新したのが、棚橋弘至。
11回防衛という偉業を達成し、新日本プロレス復活の兆しをみせました。
因縁の小川直也との抗争
そんな橋本真也に暗雲が立ち込めたのが、小川直也との抗争。
柔道世界チャンピオンの触れ込みで、アントニオ猪木が設立した「UFO」所属の格闘家となり、橋本真也相手にプロレスデビュー。
当初は、グレートムタなどとも試合をし、本格的にプロレスラーに転向したものと思われた。
しかし、1999年1・4東京ドーム大会で事件は起きました。
プロレスの試合とは思えない不穏な雰囲気。
小川直也の異常な目つき。
試合後の、両陣営入り乱れての大乱闘。
全てが「違和感」で支配され、それは東京ドーム全体にまで行き渡り、
一時間以上も試合が中断する異常事態になりました。
この事件から橋本真也と小川直也の、泥沼の抗争は始まりました。
その抗争を清算する最後の戦いは、2000年の4月の東京ドーム大会でした。
今は、年に一回の東京ドーム大会ですが、当時は、1月と4月、10月という、
年始と半期に開催されていました。
その、新日本プロレスが勝負をかける、半期に一度の東京ドーム大会で、
10数年ぶりにゴールデンタイムにプロレスが復活する、という触れ込みで開催されました。
最悪の結果と最高の視聴率
当時、ボクは高校生で、深夜にヒソヒソ見ていたプロレスが、ゴールデンタイムでやることに、胸を躍らせていました。
そして、勿論、小川直也を橋本真也が蹴りまくって、投げまくって、垂直落下式DDTで沈めてくれると思い込んでいました。
しかし、橋本真也の善戦もむなしく、
小川直也のSTO(EVILと同型)を何度も喰らい、
TKO負けを喫してしまいました。
しかし、高校生当時に、落ち込みまくったこの結果は、
平均視聴率15.7%、瞬間最高視聴率24%という高い数字をたたき出しました。
その後の功罪や影響も莫大なものにもなりましたが、
個人的に最悪の結果となったこの試合が
皮肉にも、結果的に大成功となりました。
今の新日本プロレスでゴールデンは?
では、今の新日本プロレスが、ゴールデンタイムで放送することは可能でしょうか?
結論から言うと、ゴールデンでの放送は可能であるが、恐らくありえないでしょう。
「即引退SP」の成功の最大の要因は、視聴者が橋本真也に「感情移入」できた事。
この本の中で、加地さんは、
タイトルにあえて「34歳」とつけることで、
働き盛りの30代男性が、引退の危機に陥っているという状況を、
プロレスファン以外の視聴者にも理解できるよう仕掛けたと語っています。
橋本真也のことは知っていても、
どんなレスラーかなんて、ファンで無ければ知る由がありません。
しかし、「34歳」「即引退」というコピー、
更に、番組中に、dボタンを押して「どっちに勝ってほしいか」という、
「予想」ではなく、「希望」を募ったことも、感情移入に拍車をかけたといいます。
加地倫三という、テレビバラエティのカリスマの手によって、プロレスがもつ
「心を揺さぶらせる」部分が大いに発揮した瞬間でした。
ということは、今の新日本プロレスも、「心を揺さぶる」プロレスを急進しているので、ゴールデンタイムでの放送は可能のように思えます。
しかも、「即引退」という物騒で、偏った、「誰かが確実に傷つく」要素を含まずに放送でき売ると思います。
オカダカズチカの、中学卒業からプロレス入りした歴史や、
IWGPヘビー級最多防衛の偉業や、プロレス大賞のMVPやベストバウト受賞からの、
王座陥落から、ジェイ・ホワイトと外道からの裏切り、そしてNJC優勝という、
復活のストーリーは、テレビパッケージにしても映えるし、初めて見る視聴者にもわかりやすく伝わると思います。
では、なぜ「ありえない」のか。
「即引退スペシャル」は高視聴率をマークしました。
しかし、それは2000年という時代もあり、まだ映像メディアがテレビしかなく、
ネットも普及はしていましたが、動画コンテンツが充実している時代ではありませんでした。
新日本プロレスを観戦する多くの人は、
新日本プロレスの独自動画コンテンツ
「新日本プロレスワールド」で視聴しています。
最新試合から、過去のアーカイブまで、
充実した内容のこの動画配信サービスがあり、
国内だけでなく海外からの加入者も多いことからも、
もはやゴールデンタイムのテレビ放送などする必要がありません。
これは、レコード会社の「メジャー契約」と似ていて、
現在の、CDが売れない時代に、メジャーレコード会社から出した流通版に、
大きな影響力はありません。
それどころか、個人でも配信が出来るiTunesや、YouTubeなどを利用した方が、
よっぽど大きな効果と利益が見込めます。
メジャー会社に所属する、歌唱力が高いとされるアーティストよりも、
現場至上主義で、1人1人のお客さんとのコミュニケーションを図る地下アイドルの方が成功しているのがいい例だと思います。
テレビの世界では「視聴率」がいまだに指標となっていますが、
ネットではそのコンテンツがどれだけバズっているかの「視聴熱」の方が重視されます。
新日本プロレスは圧倒的に「視聴熱」が高いコンテンツです。
テレビのもつマスに頼ることなく、独自のメディアが確立している以上、
テレビに「晒される」ことで、粗を探し、SNSでバッシングする輩を生む可能性もある
テレビへの露出はあまり効果的でないように思えます。
加地倫三氏が創った橋本真也の物語とは、全く違う進化を遂げたんだと、
改めて確信しました。
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