KUSHIDA退団。
退団会見の時に、記者からの質問で「一番心に残っている試合は?」との質問に、
「福岡での獣神サンダーライガー戦」と答えたKUSHIDA選手。
ライガー引退宣言?
2016年の福岡国際センターでのレスリングどんたくで行われた、
IWGPジュニアヘビー級選手権試合。
挑戦者のライガー選手は、この時期に「引退」をほのめかす発言をし、
「ライガー最終章」を提示しました。
”時のチャンピオンとやりたい”
2015年に引退した天龍源一郎さんと同じようなシチュエーションに、
「本当に引退するのか?」と、心がザワザワしたことを思いだします。
ライガー選手は、新日本プロレスの現役選手の中で、一番キャリアが長い選手。
全身コスチュームなので、見た目はこの何十年もかわっていませんが、
「引退」を考えてもいい年齢とキャリアです。
遂にライガーもそんな時がきたか。
そう思えば思うほど、KUSHIDA選手VSライガー選手の選手権試合は、
「チャンピオンVSレジェンド」
という構図に映り、単なる防衛ロードの一つではない様相を呈しました。
「ベルト、獲る気満々です」
KUSHIDA選手への挑戦表明時に言った言葉。
ライガーはいつだって、本気を見せます。
道場では、若手を厳しくも優しく導いてくれる。
解説席では、レスラーならではの視点で、わかりやすく伝えてくれる。
テレビでは、コミカルな一面を見せ、プロレスとは違う楽しみを見せてくれる。
しかし、対角線に立つ相手には、たとえどんなにキャリアが下でも、ベビーでもヒールでも、本気でライガーは立ち向かう。
その姿は、20年前も、今も、変わらない。
スゲー。
KUSHIDAとライガーが魅せる”新日本プロレス”
新日本プロレスのレスラーの基本は、どこまでいっても「レスリング」だ。
スーパーヘビー級でも、ルチャ系でも、レスリングをないがしろにする選手に光をあてる団体ではない。
この時実況席にいた、棚橋弘至選手が、
「海外の試合で、ライガー選手とじっくりレスリングの展開を続けていたら、
”This is Wrestling"コールが起きた」と言いました。
この試合も、新日本プロレスが誇る、観ているものも息をのむ、じっくりしたレスリングの展開から始まりました。
しかし、ライガーは「怖い」
グラウンドの展開で膝にダメージを負ったKUSHIDAは、場外へエスケープ。
KUSHIDAを追撃するライガーは、鉄柵やコーナーポストへ膝を打ち付け、
更に場外での垂直落下式ブレーンバスター。
かなりのダメージを負ったKUSHIDAは、場外20カウントギリギリでリングイン。
しかし、ライガーの攻めは止まることなくエグい。
掌底連打、アームロック、ライガーボム。
ライガーの勝負論はえげつない。勝てるとわかれば、1点集中。
そこに「受けの美学」なんて存在しない。
続く、膝と腕への攻撃。
リングサイドに、三沢威トレーナがくるも、なんと三沢さんに蹴りを喰らわす!
「勝負」に介入する者すべてが「敵」だと言わんばかりに。
まさに、「怒りの獣神」でした。
最後の最後まで、試合のペースはライガー選手が握っていました。
しかし、勝負は一瞬。
ライガー選手が決めた、垂直落下式ブレーンバスターを、あえて「受ける」ことで、
ホバーボードロックへのチャンスを伺っていたKUSHIDA選手は、一気に腕を締めあげます。
「マジで折る」
その気概を、身体ではなく、心に受けたライガーはギブアップ。
ライガーは純粋無垢
この試合を見て、KUSHIDA選手への感慨もそうですが、
やっぱりライガーは「世界の獣神サンダーライガーだ」と思いました。
ライガー選手は、気持ちをストレートに出す。
いつだったか、2000年くらいかな?
西村修選手とG1タッグリーグに出場し、連勝したときのバックステージだったと・・・
ああ、そうこれこれ。
引用元:https://youtu.be/1Cu_Q6mFjE8www.youtube.com
つられ笑いするくらい喜んでますよね!
本当にプロレスが好きなんだなー!と思った瞬間です。
そして、悔しい時はハッキリと「悔しい!」と言います。
2002年、パンクラスの20周年記念興行に解説席にいたライガー選手を鈴木みのる選手が挑発。
その遺恨から、ライガー選手は、パンクラスルールで鈴木みのる選手と試合に臨むことになりました。
引用元https://youtu.be/LpFi14IzQmY
いつもの新日本での試合ではないルール。
打撃やグラウンドの展開も、全く別物の場所へ乗り込んだライガー。
ぶっちゃけ、無謀な戦いだったと思います。
いくら同じ「レスリング」を標榜していても、格闘プロレスと純プロレスは混じり合わない。それは、これまでの歴史がキチンと証明してきたこと。
でも、ライガーは行くんです。相手のリングに乗り込むんです。
なぜか?
獣神サンダーライガーだから!
ゴングが鳴るや、けん制しながらも間合いを詰めていく両者。
ここでライガーが仕掛けます。
自身のルーツである「骨法」の浴びせ蹴りを放ちますが、これをよけられマウントを取られます。
結局これが致命的となり、そのままチョークスリーパーでギブアップ。
1分半にも満たない短い試合。
相手の土俵での完敗。いくらだって言い訳ができるし、周りは「仕方ない」と思ってくれる。
だけど、ライガーは吠えた。
「悔しい!」
「もう一回やるぞ!」
ライガーと鈴木みのる
その「もう一回」は、新日本プロレスに場所を移しました。
そう、これ以降、鈴木みのる選手は新日本プロレスに復帰し、さまざまな団体で、今なお活躍している。
恐らく、この試合がなかったら、鈴木みのる選手はプロレスへ復帰することはなかっただろう。
もしくは、今ほどの地位へは上り詰めていなかっただろう。
前田日明さんは、UWFとして一度新日本プロレスへ戻ってきたとき、試合を受けてくれた藤波辰巳さんに対し、
「無人島にいったら仲間がいた」と言いましたが、
ボクは、この時のライガー選手のことを、ケガなどで悩んでいた鈴木みのる選手を思い、
「無人島になってしまった場所に迎えに行った」
と勝手に思っています。
大の大人が、プロレス界のレジェンドが、
大観衆の前で、
「悔しい!」
これだからライガーが好きだ!
KUSHIDA選手の退団の話しなのに、ライガーの話しばっかになっちゃった。
でも、
ライガーがずっと、嬉しくて笑い、悔しくて叫ぶ姿を見せてくれる限り、
ライガーが、みんなのヒーロー「獣神サンダーライガー」でいてくれる限り、
30歳をこえてもなお、ボクたちはプロレスに熱狂する子どもの気持ちでいられるんだ、
と思う。
「次、挑戦できる時が来たら、絶対にそのベルトを腰に巻く」
ずっとその気持ちでいて欲しい。
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